♯49

おかやん

オトンが乗り込んできた日

そういえばすっかり忘れてた。

夫が学生のときだっけか?

市営住宅の引っ越しの時、本籍を大阪の方から、

広島へと移したのだ。

その住所は市営住宅の前の場所。

同じ「市」ではあるのだが、「区」が違うので結構離れていたし、

私も夫も納得して移動させた。

その一年後か二年後くらいに、

夫の母から電話がかかって来た。

「アンタ! おかやんちゃんとこのおとうさんから電話かかってきてな!

 居場所が分かったから行きましょうって言われたわ」

と、連絡をもらい、私たちはオトンが今こちらへ向かっていることを知った。

今でこそ一緒に暮らしているオトンだが、

この時はまだまだ心配度マックスだったな。うん。

最近のオトンは丸くなったのか、私が何しても「好きにして」としか言わないが。

この頃は行動力とか、なんか血気盛んでわりとすごかった。

電話をかけて教えてくれた夫の母も、迫力に気圧されたのか慌てていた。

「私は断ったんやけどなぁ、今から行くって言うてたから、アンタら覚悟しといた方がええで!」

めっちゃ迷惑、っていうのが一番に思ったことやったなぁ。

いや、親なら当然の行動なんだろうけど。

確か土曜やったんよね。その日が。

私と夫は逃げるように市内へ繰り出したよ。

普段行きもしないカラオケとかゲーセンとかで時間潰して、

心ここにあらずな状態で

現実逃避をしていた。

意味もなくプリクラとか撮ったわ。

時間を無為に浪費できたらそれだけでよかった。

大阪を飛び出して6か7年目くらいやったなぁ。

まぁ本籍移動させたし、いつかバレるやろうとは思っていたけど、

単身で行動を起こすあたり、

よっぽど心配していたんやろう。オトンは。

ちなみにオカンは

「あの子のことやから大丈夫やろう。

 帰ってくるまで待ったったら?」

と言ったそうだが(なんともありがたい)

おとんは聞く気もなく、

すぐに飛び出していったらしい。

本当に私は父と似ている。

現在一緒に暮らしていて、そう実感することは多い。

血は争えんって本当だよなぁと、

この時を振り返っても、

今の暮らしっぷりを見ても、

思う。

とはいえ、この時の私と夫の心情としては、

『理解はできるけど超絶嫌だなぁ』

以外になかった。





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アラフォー主婦のノンフィクション雑記ブログ
21歳で駆け落ちした経歴を持つ、現在39歳の未亡人です。 このブログが多くの人に読まれ、亡くなった夫のことを私以外の誰かにも知って欲しい。
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