♯50

おかやん

オトンが乗り込んで来た日➁

夫の母から電話をもらって、

気もそぞろで貴重な休日である土曜日を

夜の11時くらいまで無意味に過ごした。

なんか妙に疲れてたけど、

家のドアの前で待ってたら嫌やし、

とにかく帰りたくなかった。

でも疲労も限界だったし、

日付が変わるか変わらんかくらいの時間に帰宅せざるを得なかった。

帰ったらポストに手紙が挟まっていた。

紙には書きなぐったような汚い字で

「やっと見つけたぞ」

から始まる待ち合わせ時間が書かれていた。

「明日、広島駅の噴水前に11時に来い」

とまぁざっくりこんな感じだったと思う。

「絶対に来ること!」

ってものすごい力強く書かれていたなぁ。

文字から伝わる「圧」がすんごかった。

文字に乗る感情というのは、なんか不思議なものがある。

肉筆には魂が宿るんだろうね。

それでも読んで、行くのすっごい嫌やったけど、

家に来られるよりは赴いた方が数百倍マシなので、

翌日はその通りに行くことにした。

当たり前と言えば当たり前やが。

それでも超絶嫌やったなぁ。

お子さんのいらっしゃる方は、父の方の感情が痛いほど理解できるのかもしれんけど。

私は私のことしか考えてないので、ただただ

「関わらずそっとしといて欲しい……」

としか思ってなかった。

でもまぁ、夫は夫の母と連絡取り合ってちゃんと近況伝えたりしてるけど、

ウチは一切合切断ち切っていたから。

連絡は何かあった時だけ。

近況なんて伝えることもない。

夫が不安に感じるようなことはしない! ということを、私なりに徹底したつもりだ。

私の人生は私のモノではなく、なにもかも夫のために存在するので、夫が望まないのならそれはしないという姿勢を、私は今でも貫くつもりでいる。

私が実家と連絡を取れば、夫はそれだけ不安に思うので、たとえ夫の方がどれだけ実家に頼っていようと私はそれをしてはいけないのだ。

と、まぁカッコイイことを言ってみたものの、男性というのは女性がいないと生きていけない生物なんだろうなぁと、私は勝手に諦めているだけなのだが。

ふと、そんな愚痴を言いたくなった。

まぁ心情はどうあれ、夫がいる限り私は実家とは疎遠だった。

誰に何と言われようと、

私はなにがあっても夫の方を優先し、

はるばる会いに来た父にすら感動を覚えなかった。

本気で「迷惑だなぁ」と思いながら、

翌日、

できるだけ身綺麗にして、

夫と覚悟を決めて出掛けて行った。




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アラフォー主婦のノンフィクション雑記ブログ
21歳で駆け落ちした経歴を持つ、現在39歳の未亡人です。 このブログが多くの人に読まれ、亡くなった夫のことを私以外の誰かにも知って欲しい。
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