【日記】原付バイクの旅 2日目

尾道の朝
おかやんの朝は早い。
とりあえず起きてすぐお風呂に入った。
旅先での風呂って、たとえそれがホテルのユニットバスであろうとも、妙にワクワクして特別感があって好き。
風呂からあがったら日が昇り始めていたから、前日に買っていたおにぎりを食べてから散歩に出た。
空気が気持ちよかった。

港町の夜明けって、なんであんなに美しいんやろう。
水が澄んでいて、魚がいっぱい泳いでるのが歩きながらでも見えた。

日が昇るにつれて、水面が輝きだす。
光るそこに魚が跳ねて生まれる、いくつもの波紋。
足元に目を向ければカニがピースサインをウチに向けながら、せわしなく行き来してた。

生き物の気配がいっぱいあって、まさに朝だな、と思った。
旅立つのが惜しかったなぁ。
もっと観光していたかった。
でも7時半にはバイクにまたがっていた。
そんでひたすら国道2号線に沿ってトゥデイを走らせた。
遠ざかる潮の香りに後ろ髪をひかれながら──
とりあえず岡山を越える
2日目の目的地は姫路やった。
ホンマやったら1日目は福山まで行って宿を取りたかったから、予定としてはすでに遅れているって思ってたから、2日目はわりと1日中焦ってたなぁ。
途中で道間違えるし。
自分がどこを走ってるか、分らんくなったらもうヤバい。
バイパスばっかりで、原付やからそれに乗れなくって、バイパスを避けていくうちに迷ったんやけどな。
さんざん迷ったおかげで、地図の見方をがっちり理解できた。
ここを行けばこうなる、っていう図式が自分の中でできたって感じ。
これは旅をして1番学んだことやった。
身についてよかったなぁと思う。

それだけでも原付バイクで帰った価値はあったわー!
旅の記憶は人との会話
岡山で1番覚えているのは、お昼ご飯。
ウチ、焼肉たべたかったんよね。
で、ずーーーーーーっと2号線走ってて、

次、焼肉の看板あったら入る……!
って思ってたんよ。
そう思ってから次来るまでが長かったなぁ。
1時間後くらいにやっとあったわ。

しゃあっ!! 焼肉やーーー!!!
って曲がって入ったら、入り口の横に書いてある文字。
「本日定休日」
つおおん! なんてこったい!!
次の焼肉までウチの精神もボデーももたない……しゃーない。隣のお店入ろう……と入ったら、そのお店めちゃ混みやった。
昼時やったし、仕方ないと名前を書いて待つ。
座った斜め前に一組の老夫婦。
どうしよっかなぁーと思いながら、でもせっかくやし、と思って話しかけてみてん。
「ここから姫路まで、どれくらいかかりますか? 実は原付バイクで広島から大阪まで行く途中でして(笑)」
その人たち、いい人でなぁ。
いっぱい教えてくれたわ。
姫路までの具体的な時間。
今のルートだとバイパスしかないから、旧2号線を使ったほうがいいこと。
旧2号線までの道順。
そのご夫婦の息子さんもバイクで広島から家まで帰ってくること。
お店がテレビに出てから人が増えて待ち時間が増えたこと。
岡山でもけっこうな有名店であること。
火曜の1時前後という時間帯やったのに、そのご夫婦が呼ばれる30分間ずっとお話してた。
楽しかったなぁ。
いい人に声をかけたと思った。
いつも思うけど、ウチは本当に運がいい。
そのお店だけのメニュー「えびめし」はめちゃくちゃ美味しかったし。
エビのうま味がギュッと詰まったソースを、絡めて炒めた真っ黒なご飯やねんけどな。
懐古的洋食屋さんって看板に書いてたわ。
あれは美味しかったなあ。

そこからはしばらく迷って、旧2号線見つけてずっと走り通したわ。
休憩も2時間に一度くらい。
でも良かったのが、2日目に入ったコンビニすべてにイートインコーナーがあったこと。
これはかなりいい休憩をとることができた。
1日目と比べて、内容がかなり充実したもん。
涼しい場所で汗が引くまでゆっくりしたり、アイス食べたり、地図見たり、Xでつぶやいたり。
で、とにかく走った。
岡山は長かったなぁ。
あと山が多かった。
自然が雄大やった。
人家が少なくて、世界がやけに大きく見えて、

ああ。自然とは信仰されて当然の偉大さなのだなぁ
と、思った。
見渡す限りの山と川の中にぽつぽつと存在している家は、どっちが主役なのかをその圧力だけで感ぜられることができた。
人とはなんてちっぽけなんだろうと、走りながら肌で感じた。
姫路に入って
山が消えたな。うん。
車線が増えたし。
あ。もう土地が違うんやなぁってすぐ分かる。
バイクは空気や温度の変化がダイレクトに伝わるのがデメリットでもあり、メリットでもあるんやなって、旅をして改めて気づいた。
姫路に入ったのはええんやが、ただ駅がまったくわからんかったわ。
地図見ても「この辺」って感じでしか分からんでなぁ。

しょっちゅう地図見るのも出来んから、途中から駅に行くバスについていったわ
一方通行が多くなってきたらもう姫路。
駅は近い。
走ってる4車線全部が一方通行の道路沿いに「〇〇ホテル」って書いてあったから、もうそこ飛び込んだわ。
疲れてたし。
めっちゃ晴れで焼けたし。
道に迷って精神的にもくたびれてたし。
そのホテルが5000円という安さでたすかった。
古いからいっぱい注意事項言うてくれたけど、安さに敵うものなし。
姫路城が絶妙に見えないホテルやったのは残念やったが、値段ですべて帳消しよォ。
8時にはもう寝たね。
そんな風にして2日目は終わりを迎えた。
目標地まで来れたことに、とにかくホッとした。

実家にも「明日着くと思う」ってラインして、この日は泥のように眠ったわー